涙が流れてもダンスはできる


                     リヨンの繁華街では夕方からぎやかになります
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                                          病を担う人 ― 神の義 ― (下)
                                          マタイ8章14-17節


                              (4)
  ローマ書に、あなた方は神によって義とされている。だからあなた方は平和を得ている。それだから平和があるときには、艱難(かんなん)が来ても、艱難が忍耐が生み出し、忍耐は練達を生み出し、練達は希望を生み出すと書かれています。「艱難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生み出す。」神によって義とされ、神の平和が授けられる時に、「艱難辛苦(かんなんしんく)汝を珠(たま)にす」と言うことが起こる。聖書はそう語るのです。

  人生には色んな事が起こります。しかし自分を嘆いていては始まりません。それから逃れようと不平を言っても何も生まれません。しかし、「今や恵みの時、見よ、今こそ救いの日」とあります。今、艱難の中で、神の恵みが私に届いている。それを知って艱難を担う時、艱難が宝石になる。人生を恐れてはならないのです。

  京都の大原に住みんで英語学校を開き、ハーブ園を作ってエッセーを書いておられる、イギリス人のベニシアという方がいます。あちこちで講演もされて、いつも満員のようです。「人生とは、嵐が過ぎ去るのを待つのではなく、雨の中でダンスすること」だと言っておられる。嵐でショボンとなるのでなく、「雨の中でダンスをする。」

  調子いいなあと思いますが、英国の貴族の出ですが、日本で3人の子どもを持って離婚されています。大変苦労して大変貧しい生活を経験されている。また、娘さんが結婚して子供が生まれた。大喜びだった。だがすぐ離婚になって今、帰って来ておられます。そしてやがてその娘さんが統合失調症精神分裂病)になった。踏んだり蹴ったりです。泣き面に蜂。その中で、「人生とは、…雨の中でダンスをすること」と言って、異国の地に根を下ろして暮らしておられる。また、「困難によって人は宝石のように輝く」とも語って、京都の大原の民家でハーブに囲まれて暮らしておられます。

  イエスが艱難を担って下さるから、逃げる必要はない。神の国があなたの所に来ている。神、我らと共におられる。私と共におられる。遠くにおられるのではない。恵みは今、あなたの所に来ている。だから雨の中でもダンスが出来る。涙が流れ落ちてもダンスが出来る。

  有名人や注目をひく人になることが人生の目標ではありません。人より優れ、秀でることも目的ではない。今の時代は、新聞でもテレビでも何となくそう思わせられがちですが、そうではありません。それは幻想です。幻想を抱かされて、多くの青年たちは落ち込んでいます。みんな競争に掻き立てられている。

  だが、「今や恵みの時、見よ、今こそ救いの日」である。神の恵みがあなたに届いているのです。それを知って自分の十字架を負ってキリストに従うのです。そのようにして、キリストにあって艱難を担う時に、艱難が宝石になる。艱難辛苦が汝を珠にする。

  高齢を迎えると言うことは、体力も記憶力も落ちます。歩みは遅くなり、歯もガタガタかもしれません。だが人間の深みは徐々に増すのだと思います。教会の80歳代の皆さんのお姿に接していますと、ご自分ではお気づきになっていらっしゃらないと思いますが、また若い人は気づいておられないでしょうが、徐々に成長しておられます。今も成長株でいらっしゃる。足腰は弱っても、人間の深みが生まれて来ておられる。熟成が進みつつあります。

  それは、「今や恵みの時、見よ、今こそ救いの日。」このことを感じていらっしゃるからではないかと私は思っています。これは世代を越えて、若い方もそうですが、老いを迎えられる日々においても同じです。老いの困難や艱難を通し、艱難辛苦が汝を珠にする。そういう日々を、主の恵みによって歩いていらっしゃると、私は今日の聖書から考えさせられます。

         (完)

                                      2012年3月4日



                                      板橋大山教会   上垣 勝



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