ユーモアをもってベストを


                            リヨン美術館で
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                                       ユーモアをもってベストを (下)
                                       フィリピ4章11b-13節
       


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私は最近、ある英語聖書が、「どんな状況に置かれても、ベストを尽くすことを学びました」と訳し、更に、「キリストの助けを得て、私はどんなことにも立ち向かうのです。イエスは私の力だからです」としているのを見つけました。

これは何と雄々しく、積極的な訳でしょう。歯を食いしばって耐えるイメージは先ずありません。どんな状況の中でも「キリストの助けを得」、私の力の源である方に支えられベストを尽くす。仕方がないのでなく、「仕方がある」と考えるのです。希望が出て来る訳です。

昨日のバザーは雨で始まりました。一時はどうするか案じましたが、何とか切り拓いていこうと、何とか「仕方がある」と色々工夫してオープンしました。会堂に雑貨も洋服類も所狭しと並べ、2階を喫茶室にしたのも知恵を絞っての工夫でした。

しかし雨がやんで、雲は厚かったですが食べ物類を道路際に並べ、雑貨も並べ始めて、遂に洋服も外の竿に若干だけ掛けて道路からバザーが見えるようにしようと呼びかけました。雨に降られれば誰も買わないから、すぐ引っ込めるためです。ところが私が知らない間に、全部外に出てしまったんです。会堂に入ったら、何にもないんです。びっくりしました。

でも、仕方がないのでなく、仕方があるさと強気で押す人たちがいたようです。すると終了時間の3時までとうとう雨が降りませんでした。雨の方も遠慮したようです。そして皆が帰ってしまってから再び雨が降り出しました。

いずれにしろ、皆さんは、「どんな状況に置かれてもベストを尽く」して下さった、「キリストの助けを得てどんなことにも立ち向か」って下さったと思います。

キリストにある時には、困難の中で道を切り拓くのが楽しいのです。工夫し、改善するのが面白い、喜びになるのです。生きるのが喜びになる。パウロがここで言いたいのは、「我、唯、足ることを知る」という消極的な面ではありません。積極性です。

彼は貧しさからの自由。困難からの自由を語っています。それは富からの自由の道でもあり、満腹からの自由の道でもあります。ユーモアはこの自由から生まれます。

自由であるから、富に囚われずベストをなせるのです。貧しさに打ちひしがれず最善をなし、そこにある物を用いて美しいもの、神を賛美するものを創り出せるのです。貧しさにも拘わらず、生活に潤いを与えるもの、文化を創り出すのです。「穏やかに敬意をもって」という生き方は、文化を造る創造的な態度です。それに対し、荒い生き方は文化を作り出せない。「貧しく暮らすすべ」とは貧しさをも一つのチャンスと考えるあり方です。屑のようなものにも価値を賦与することができるのです。

不平でなく、また富者(ふしゃ)として振舞うのでなく、富にあっても低く謙り、優しく生きる。「穏やかに敬意をもって」とはこういう態度です。キリストは富んでおられたが貧しくなられ、神であられるが低くなり、人となり、僕となり、卑しめられている人たちの友になって生きられたからです。

貧しいから人の辛さが分かります。空腹だから人の痛みを共に出来ます。すべてがあい働き益となります。

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イギリスのケンブリッジのあるカップルが、先週、120億円の宝籤に当たりました。知人ではないですよ。今はベッド一つの家に住んでいる2人ですが、一挙に大金持ちになりました。

来年ポルトガルで結婚式を挙げるそうです。アメリカのラスベガスに行って楽しみ、オーストリアへスキー旅行に行き、親戚に1億円ずつ配って、親戚みな億万長者になると言っています。

だが、力の源であるキリストの助けによりベストを尽くすあり方。工夫し、改善するのを喜ぶ生き方がなければ、彼らの宝籤はやがてあぶく金にならないとも限らないでしょう。

いずれにしろ、私たちは、「力の源であるキリストの助けを得て、どんな状況に置かれても、ベストを尽くすこと」、雨でもユーモアを持って、バザーにも創意工夫でベストを尽くしたいと思います。

           (完)

                                          2011年10月16日


                                        板橋大山教会   上垣 勝


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