郷里伝道をしたエパフラス


                            リヨン美術館で
                               ・


                                         家の教会の人たちに (上)
                                         コロサイ4章12-18節


                              (序)
  昨年4月から1年半かけてコロサイ書をご一緒に学ぶことができました。このことは本当に感謝でした。この年齢ですから、恐らく2度とこの書全体を時間をかけてご一緒に学ぶことはないでしょう。で、今日はコロサイ書の最後までお読み頂きましたが、名残り惜しいというわけではありませんが次回で最後にさせて頂きます。

  さて、今日の個所は4章7節から始まる結びの挨拶の最後です。これ迄5人の人々が取り上げられましたが、今日は残る人たちです。

                              (1)
  先ず、エパフラスから入りましょう。

  パウロは、「あなた方の一人、キリスト・イエスの僕エパフラスが、あなた方によろしくと言っています」と言います。「あなた方の一人」とあることから、彼も、9節に出て来たオネシモ同様、コロサイの出身であったと思われます。オネシモのような奴隷出身でも、彼のような逃亡奴隷でもなかったでしょうが、エパフラスも他の町でキリスト教に出会い、やがて伝道者になって故郷伝道を行なったのです。

  比較的近い大都市はエフェソです。そこでパウロを通してキリストに出会って、彼から、この地方一帯の伝道を任されたとも言われます。1章7節には、コロサイ人はキリストの福音を「エパフラスから学びました」とありました。

  郷里伝道です。自分の郷里を思いますと、私は大阪の田舎ですが、東京と違い大阪と言い奈良と言い、弘法大師時代とか江戸時代以前からの町々もあるわけで大変因習の強い地です。内陸部に相当入ったリュコス渓谷のコロサイも因習が強く伝統的に神秘宗教が強く、中々伝道は困難だったと思います。因習もそうですが、もし私が郷里伝道をするとすれば、自分の過去のワルサを知る人たちがいますから、すっかり裸にならなければ出来ません。良寛さんは晩年になり辞世の歌で、「裏を見せ、表を見せて散る紅葉」と読んだそうですが、郷里伝道をするには、若くても既にそういう境地になることが必要でしょう。足元を見られていますから、ごまかしはききません。家の中はどうなっているかまで見られています。裏も表もなく、すっかりキリストに委ね切っている。浮いた言葉では決してできないでしょう。

  エパフラスの青少年時代が、郷里コロサイでどうだったかは不明ですが、キリストに出会って罪を示され、その罪を彼は赦されていると聞かされ、新たな人間として生まれ変わり、伝道の道へと進んだのでしょう。3章に、「古い人を、その行いと共に脱ぎ捨て、造り主の姿に倣う新しい人を身につけ、日々新たにされて…」とありますが、これはエパフラスの伝道者としての姿であったかもしれません。

  十字架の罪の赦しの福音がはらわたにまで沁みたのでしょう。イエスがおっしゃったように、「私が与える水を飲む者は、その腹から活ける水が川となって溢れ出る」というようなことが起こった。渇いた魂が癒され、福音の喜びが腹からあふれたのでしょう。

                              (2)
  郷里伝道ですから、初めは自分の家を「家の教会」として用いた筈です。誰もキリストを知らない郷里で一から種蒔きをした。やがて「家の教会」に集まる人が1人加えられ、2人加えられ、少しずつ教会の形が出来るうちに、彼は、リュコス渓谷の10kmほど下流にある町ラオディキアにも伝道を始め、更に下ったヒエラポリスというローマ風の町でも伝道を始めたのです。

  ラオディキアにも教会が生まれました。そこでは、15節にあるようにニンファさんの家が教会になった。即ちここでも「家の教会」が生まれ、ニンファの家に人々が集まり、「ラオディキアの兄弟たち」とありますが、女性も男性も集まって来た。これは、エパフラスが自分の家を教会として捧げていたことが強く影響しているでしょう。彼女もその意味を深く認識して、家を教会として使ってもらうようになった。

  信仰は伝染します。「家の教会」が伝染した。西暦1、2世紀に「家の教会」があちこちに生まれたと言いますが、個人宅から福音が地域に届けられるという素晴らしい働きを認識して、素晴らしい伝染が起こったのです。

  今は三田線沿線のNさん宅で平日礼拝(家庭集会)がなされていますが、やがて東上線沿線にも伝染して、平日礼拝をするご家庭が与えられるならどんなにいいでしょうか。

          (つづく)

                                        2011年10月2日


                                         板橋大山教会   上垣 勝


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