戦うために平和の道を選ぶ


オランジュ古代劇場・世界遺産の一角にあるレストランは、岩穴の中のホールでもこのテラスでもゆっくりくつろげます。
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                                        ティキコとオネシモ (下)
                                        (8月14日大山教会説教を加筆改訂)

                                        コロサイ4章7-10節
                                        於 百人町教会


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  結論を言うなら、パウロはコロサイ教会とフィレモンが、「愛を選択する」ようにこの2人を送るのです。法を犯し、逃亡したから厳しい制裁を加え、痛い目にあわせ、2度としないように懲らしめる。他の者への見せしめのためにも厳罰に処するというような道でなく、「愛を選択する」。これです。

  随分前の話ですが、東神大紛争の時、山谷省吾先生は、「教授会には愛がない」と洩らされました。もっと大きな度量、キリストの愛に生きて欲しいという発言でした。今、北村牧師の聖餐問題で、信仰の最高の規範である聖書に問うことなく、教憲教規だけによって免職を決めました。東神大教授会の後継者たちは、今では愛だけでなく、キリスト教会が最高の規範として来た聖書も捨てている有様です。ただ、そういう時代であっても、私たちは聖書を規範とし、「愛を選択する」ことが肝要だと思います。

  不況と津波原発の被害で多くの争いが今後起こるでしょう。経済的な不況が深刻になる中で世はますますギスギスして行くかも知れません。世界を見回しても、今後、イギリスで起こったような暴動や混乱が増えて騒然とした世界がやって来るかも知れません。アメリカもヨーロッパも危ないという時代。大恐慌と言えなくても、類似したものの再来があるかも知れません。

  この停滞した時代なのに、多くの事柄がこれ迄なかったようなスピードで変化し、世の中の変化が次々起こってめまぐるしい。ウインドーズも7に馴染んだと思っていたら、もう8だこれは革新的に新しいと宣伝される。若者さえついて行けない時代に来ています。ついて行けないのは買えないからです。お金がない。失業、貧困、失望、暴動。心ない暴力。これによって世を変えようという者が台頭するかもしれません。

  しかし私は、社会が混乱する中、社会を変えるために武器を取って戦う暴力の道を選択するのでなく、むしろ暴力の道を拒否し、単なる不満分子になるのでなく、社会を新しく変え、創造する機会として不況も困難も受け止めて行きたいと思います。戦うために平和の道を選びたい。エジプトの民衆が選んだのもこの道でした。

  私たちには十字架と復活の終末的な勝利の信仰が示されています。ですから、いかなる時にも、「愛の道を選択」するのです。憎しみの道ではありません。憎悪に憎悪を増し加え、火に油を注ぐ道ではありません。

  むろん私たちは憎しみの道も、冷淡さの道も、無関心の道も、無慈悲の道も、暴力の道も選択できます。だがそれを選択しない。その道を捨てるのです。「自分を捨て、自分の十字架を取って」と言われた方に従って、愛の道を選択する。対話の道、平和の道を選択するのです。神はただ愛のみであられますから、私たちも愛を、平和を、しぶとい対話の道を選択するのです。

  そのためには、繰り返しますます信仰の源に帰る必要があります。復活のキリスト。「あなた方に平和があるように」と言われたキリスト。憎しみでなく、愛を選択して生きるために、ますますキリストに繰り返し帰っていく生活は不可欠です。

  2章6節で、「あなた方は、主キリストを受け入れたのですから、キリストに結ばれて歩みなさい。キリストに根を降ろして、造り上げられ…」とあるのがそれです。キリストを選択した、ならばキリストに結ばれ、この方に根を下ろし、平和の道、愛の道を選択して生きよ。ならばますます平和のキリストの近くに留まって生きよ。

  パウロが獄中から2人をコロサイに送る意味は、こういう現代においても大切な意味を持つものであります。

         (完)


                                         2011年9月18日


                                         板橋大山教会   上垣 勝


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