微笑んでウインクしよう


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                                           愛は造り上げる (D)
                                           Ⅰコリント8章1-13節



                              (5)
  そのような中で、私たちの教会はどうするのかというのが夏季集会のテーマです。そこで、何らかの叩き台が必要ですので、思い切って私の考えを述べます。

  私は、洗礼を受けた人のみというクローズドな教会があってもいいと思います。しかし、まだ洗礼を受けない人も聖餐に与るオープンな教会が同じ教団の中にあってもいいと思います。聖餐式の持ち方は各個教会の自主的判断に任せればいいのです。狭く一方に限る必要はない。私は既にそういうことを本の中で公けにしています。主の恵みの広さ、豊かさからオープンな教会とクローズドな教会が、兄弟姉妹として共に共存し座っている。そこに、何という麗しい恵みがあるかと思います。

  ただ、私はそう思いますが、頑固に絶対に主張を曲げず、数を頼んで聞く耳を持たない人たちが昨年、教団の常議員会30人、執行部の全てを占めてしまったのです。昨年です。なぜ、全部を占めたか。説明すれば甚だ長くなりますし、昨年の日本基督教団総会で行なわれた恥です。目的のためなら手段を選ばず、不正とも言える手段で常議員会を制したのです。日本基督教団の歴史というのは本来そういうものでありませんが、今は一時的にも、そうなってしまっています。

  言わば国会が全員民主党で、あるいは自民党で占められた。そのため勝手な独裁的なことができるようになっています。

  それで私の提案です。私は、聖餐は全ての人に開かれていると思います。しかし、この頑固に絶対聞く耳を持とうとしない人たちのことも考えなければならないと思います。端的に言えば、彼らの信仰は弱いのです。いや、強硬な態度ですが、実際には聖書を基にして広く対話もできない程に弱い。聖書を基にした土俵で議論ができないのです。それで教憲教規と言う規則だけで押して来ますが、そこにもはっきり書かれていません。それで数で押しています。数が民主主義だ、正義だとなっています。聖餐式を未信者に開けば、聖餐が汚され、キリストが、教会が汚されると考えているのでしょう。自分たちは真理の防波堤になった気分でしょう。

  オープン聖餐でキリストや教会が汚されるなんて言うことは絶対ありませんが、彼らの信仰はまだ幼児的で、病的ですらあるために、自由さがなく、広くもなく、頑ななのです。

  その場合パウロは、心の広い、成熟した強い信仰を持った兄弟たちに譲歩を呼びかけました。先ほどの今日の個所がそうです。

  彼らが成長して、全ての人にオープンにする意味深さが分かるまで、一旦私たちもクローズドにしてはどうかということです。どちらも命を掛ける程のことではない。非常に長い期間になるかも知れませんが、それに耐えるべきでないか。残念とは言え、自分を打ち叩いて、わが身を従わせて行ってはどうか。むろん私たちも学び続けるべきです。果たしてオープンが良いことなのかを検証し続けるべきです。私たちも、「自分は何か知っていると思う人がいたら、その人は、知らねばならぬことをまだ知らない」と言うことにならないためです。

  私たちは彼らより少し先に進み過ぎているかも知れません。そうであれば、まだここまで来れない人たちを、暫らく待ってもいいのでないかということです。日本基督教団という大きな群れが未来に向かって進んでいくために、今、前にある者たちがしばらく待ってあげる。急ぐ必要はないのでないのですから。

  彼らが来るのを待って暫らくクローズドで行くのです。ただ、たとえパンとブドウ酒を求道者の方がお取り下さっても、「取らないで下さい」と注意しません。それは不要です。微笑んでウインクしている。険しい顔で禁止するなどと言う、ケチなことをしません。むしろ恵みに共に与って頂いたことを喜びます。言わば、私たちの教会は厳格なことを言わず、セミ・オープンであり、セミ・クローズドで行きたいと思います。聖餐は恵み溢れる喜びの事柄ですから、むしろ未受洗者が聖餐に加わって下さったことも喜び祝って進んで行く。そんなユーモアも、融通もある聖餐式です。

  クローズドな人たちは対話というものを避けています。恐らく恐怖感を持っているのかも知れません。そういう恐怖感を払拭するためにも、今一度彼らがいるクローズドな所に戻って、そこから前進していくことが大事なのでないかと思うのです。それが今日の聖書から、聖餐式のあり方で私が示されたことです。

           (完)

                                        2011年7月3日


                                     板橋大山教会   上垣 勝


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