あなたは豊かに実を結ぶ
ケンブリッジの懐かしい日々
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あなたは豊かに実を結ぶ （下）
ヨハネ１５章１－１０節
（４）
イエスは、「人が私につながっており、私もその人につながっていれば、その人は豊かに実を結ぶ」と言われます。
再度言いますが、私たちがイエス様に向かってつながって生きており、イエス様もつながっていて下さるなら、豊かに実を結ぶのです。イエスは私たちを裁くためや悩ますために来られたのではありません。私たちを作り変え、新しくしようと来られました。私たちの弱さも欠点も用いて、造り変えて下さる。即ち祝福するためです。
ローマ書には接ぎ木の譬えが出て来ますが、私たちがキリストに接ぎ木されると、渋柿からも甘柿が実って来ます。直接的には渋柿しか結ばないものでも、イエスが媒介して下さる時、甘柿に転換されるのです。渋柿が一旦は否定されますが、否定媒介的に渋柿が甘柿に変わるのです。この否定媒介ということが大事ですが、渋柿が甘柿に変わると、普通の甘柿より甘くなります。
軍人たちの盛装の姿を見ると、胸にも肩にも勲章を沢山付けています。実を豊かに結ぶのは、私たちの身の周りにいっぱい殊勲の勲章の実をつけることではありません。
そうではなく、豊かな実は他でもない、その実そのものです。勲章のような実をぶら下げるのでなく、私たち自身がそれだけで豊かな実そのものです。
イエスは、「あなた方は地の塩である、世の光である」とおっしゃいました。「地の塩になれ、世の光になれ」ではありません。イエスにつながり、イエスがつながって下さるから、既に「あなたがたは地の塩、世の光」なのです。どんなに努力しても地の塩、世の光になれませんが、イエスにある時すでに地の塩、世の光だと言われるのです。
私たちが神に愛され、それを感謝し、喜びをもって生きるなら、それは豊かに実を結んでいることです。ブドウが「豊かに実を結ぶ」とは、味の良い、うまく熟す、甘い実を付ける以外ではありません。イエスは、「あなた方の内に塩を持ちなさい。そして、互いに和らぎなさい」と言われました。人それぞれ、その存在がキリストによって塩味をつけられることです。
「私の愛に留まりなさい」と９節にあります。キリストの愛に留まり、その愛をこよなく慕い、こよなく愛し、こよなく感謝して生きることです。また７節に、「私の言葉が、あなた方の内にいつもある」ことです。その言葉に養われ、清くされ、祝福されて生きることです。
それは単純に、イエス・キリストというぶどうの木につながっている喜びです。神の国に入れられる喜びです。やがて復活の恵みに与る喜びです。「あなた方が私を選んだのではない。私があなた方を選んだ」のであるとイエスが言って下さったように、イエスというぶどうの木に、私をつなげて下さったことへの感謝。それが豊かな実です。
（５）
最後に、ある信仰者がこんなことを書いていました。自分は今日、「怒りで胸を締め付けられるほど」だったというのです。約束を果たさなかった人たちへの荒れ狂う敵意に捕われたというのです。そして心の中で、怒りと恨みと非難の言葉を繰り返し、罵っていたと言います。どんなに神に心を向けようとしても、この感情がとれず、気がつくといつも激怒の中に引き戻されていた。「この激しい怒りを神様の前に差し出す以外、どうすることもできなかった。」（H.ナウエン）
これが私たちではないでしょうか。でも、キリストにつながる私の力はまだ弱いが、キリストが確実につながって下さっている。それがあり難い。嬉しい。感謝である。「私の愛に留まりなさい」とはそういうことです。
だから、「キリエ、エレイソン」、「主よ、憐れみ給え」と叫ぶのです。それでいいのです。先ほどの言葉ように、激怒が起こる、なかなか取れない、だから「主よ、あわれみ給え」です。「私の愛に留まりなさい」とはそういうことです。私を憐れんで下さいと叫んで、離れないことです。
その求めが、豊かな実を実らせるのです。よく考えて下さい。ブドウの実を実らせるのは、ブドウ自身ではありません。間違っちゃあいけません。ブドウの木がぶどうをならせる。ですから、このぶどうの木につながって、主よ、憐れみ給え、と祈りつつ、つながっていけばいいのです。
（完）
２０１１年６月５日
板橋大山教会 上垣 勝
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