物語でつづられた教会


                      板橋大山教会に入ったステンドグラス(部分)
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                                           野の花、空の鳥
                                           マタイ6章25-33節


  リフォーム感謝会に、お忙しい中、大勢の方がお集まり下さり有難うございます。心の籠ったお祈りとご献金を皆さまから頂戴いたしました。心から感謝を申し上げます。

  結果的に、予定より1千万円以上もオーバーする工事になりました。工事をするうちにあれもしたいこれもしたいと欲が出て、増えたのではありません。工事をするうちに、思いがけなく沢山のご献金を全国から頂戴して、使い道に困って、というのでありませんが、それに押されて、○○万円の予定が、とうとう××万円程になるという、余り前例のない有難いことになりました。

  それにしても、経常会計で毎年赤字を出している貧しい私たちです。私たちだけでは、この事業は決してできないことでした。

  周りの壁に、グルッとご献金下さった皆様の出欠のお葉書を2段にして貼らせて頂きました。これは私たちを取り巻いて下さっている取り巻き連中というのでありませんよ。これだけの人たちと教会があるのを誇示しているのではありません。この方々にも、今日の感謝会にお加わり頂いているとの感謝の思いからです。


  私の持ち時間が制限されていますので、簡単に述べさせて頂きます。

  私たちの教会が皆さんに発しうるメッセージがあるとすれば、主にあって至って単純であること、シンプルで、素朴であることだと思っています。複雑であったり、組織立っていたり、壮麗であったり、学問的であったり、完璧であったりの見本でなく、「野の花、空の鳥を見なさい。まくことも刈り入れることもしない。でも、天の父は養って下さる。…思い煩うな」ということ。そういう教会において、イエス様が生きておられることを証しすることです。その一つが、このリフォーム工事でも起こりました。本当に神の働きは不思議です。

  何しろ△△万円をポンと出して下さったご近所の方がありました。求道者の方です。献金して下さった上に、格安で仮住まいのアパートを提供して下さった方もあります。100歳の方が数十年ぶりに達筆な手紙を下さり献金下さいました。おばあちゃんの信仰を受け継いで献金下さった方。手作りの絵葉書を売ったり、その他のことで得たものを何度もご献金下さった方。教会外の方だけを申しましたが、お一人お一人のご献金にはそれをなさる多くの物語がありました。私たちの今回の建物は、お金で建てられているのでなく、物語で建てられていると思っています。461の物語が集まって建てられたのです。本当に感謝でした。

  シンプルで素朴であることは、この会堂をご覧下さってもその通りです。日常性の格式張らない、威張らない会堂です。でもどこかに品があります。笑っていらっしゃいますが、でしょ?爽やかな聖なる空間があり、窓から柔らかい温かい光が漏れ来ります。設計事務所の寺田さんのご提案です。

  新しい中に、以前の教会の歴史が留められています。講壇も聖餐卓も靴箱も週報ボックスもこれまでのものを引き継ぎました。礼拝堂の全体の形はほぼ同じ、会堂に入った時の抱かれる感じも同じです。でも、目に見えない部分に宝物が隠されています。鉄筋の入った堅固な基礎と、耐震性を飛躍的に高めた筋交い、壁、柱です。これらは工務店さんが良いのを作って下さいました。それが3月11日に神さまからお墨付きを与えられました。今後5、60年、できれば100年持たせたいと思います。今後この教会に入って来られる方はご安心ください。当分の間、建築献金をする心配はありませんから…。

  ですから、単純素朴に神を喜び、福音に生かされ、貧しくシンプルでありつつ、荒れ野のようになっている現代社会に福音を指し示すことです。複雑になり過ぎた社会の中で、教会もそれに輪を掛けたように複雑になるのでなく、単純素朴にキリストをほめ歌い、喜び、生きることです。野の花、空の鳥のように、素朴に主のみ手の中に安らおうと思います。キリストに安らうことによって証ししたいと思います。

  夏の太陽がカンカン照りつける中で、元気よく咲く花があります。勇ましい花です。しかし、木陰でないと育たない可憐な花もあります。この間、教会の小さな庭にオレガノというハーブを植えました。説明を見ましたら、肥えていない、痩せ地が良いと書かれていました。この教会に全くふさわしい草です。オレガノは野草です。野の花です。

  キリスト教の歴史を見てみると、肥えた地より痩せ地の方が、豊かな時代より試練や悩みを多く抱えた時代の方が、信仰が深くなっている気がします。肥えた時代にも、キリスト教は育ちますが、あだ花になりかねません。注意しないと。

  そこで、ステンドグラス作家の永田さんたちにイエス様の野の花、空の鳥を2階のステンドグラスに描いて頂きました。ステンドグラスは決して日焼けしません。色が褪(さ)めません。100年、200年ずっとその色彩を失いません。

  この教会は、大都会にあって、ずっと野の花、空の鳥の色彩を失わず、喜びと、単純素朴さと、神に委ねることと、平和に生き、そのメッセージを失くさずありたいと思います。

  朝の礼拝では、ステンドグラスの中心のメッセージを詳しくご紹介しましたが、今は、この教会はいつまでも単純素朴で、貧しい教会でありましょうと、いつまでもベツレヘムの馬小屋の貧しさを留める教会でありましょうと。それを板橋大山教会のメッセージにしましょうと申し上げて、お話しを終わります。
                                      (リフォーム完成感謝会の礼拝)


         (完)

                                         2011年5月22日



                                     板橋大山教会   上垣 勝


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