万事が益となる


                            姿を現した教会

                               ・

                                              万事が益となるか? (中)
                                              ローマ8章26‐28節


                              (2)
  4基の原発のトラブルが、こんなに深刻になるとは思いませんでした。地震の前に、「万事が益となる」という聖句を選んでいたのは、教会の耐震補強リフォームが完成して、「万事が益となる」ということをお話しようと思ったからです。

  だが1から4号基まで、チェルノブイリでさえ起こらなかった重大な危機が迫る中で、「万事が益となる」とは道路際に掲げることはできません。今直面している事態は深刻で、こんな安易な言葉は何だと誤解されます。もしかすると、臨界事故になり、炉心も格納容器も融けて恐ろしいチャイナ・シンドロームという出来事が実際に起こるかも知れない。それで、題をちょっといじって、「万事が益となるか?」とさせて頂きました。クエスチョンマークも付けました。

  じゃあ、万事が益とならないかと言いますと、私は、万事は益となると今も思っています。

  実際、リフォームについて言えば、万事が益となりました。約5カ月、全ての日曜日は雨が降りませんでした。全て晴天。これ程、直接神様が私たちの礼拝に恵みを下さったと思えるものはありません。これだけは人の力ではどうすることもできない。土砂降りの雨でも降っていたら、週報とかヒムプレーヤーとか、建築関係の綴りとか、その他重いものを背負って、グリーンホールに9時に来て礼拝の準備をするのは嫌になったと思います。毎週Iさんもおいで下さいましたが、Iさんだって土砂降りだと嫌になられたでしょう。ですから天候の恵みは本当に感謝でした。

  工事が始まるや、外部の色んな人や教会が次々と献金をして下さいました。しかも、想像を超えた金額になって、からし種のような私たちの小さな信仰が全て益とされ、大きな山が動いたのは暫く前にお話しした通りです。

  求道者の方がテレビの番組に応募下さったことも弾みになり、益になりました。4つの新築業者から見積もりを取ったことも用いられました。疲れてもう嫌だというのに、もう一つと言われて私は随分しんどいめをさせられましたが、新築は全く不可能だと分かったからリフォームに心を合わせて進めました。

  しかし、何よりも皆さんが献金して下さったからです。これが基本です。元です。皆の献金が用いられ益とされたのです。献金の額ではありません。中学生のOさんも、中学生らしい献金をしてくれました。それらが相働いて益とされたのです。

  リフォームの喜びに与ることができるのは、金銭の多い少ないではありません。心を同じにしたからです。先ほどの交読詩編に「涙と共に種まく人は、喜びの歌と共に刈り入れる」とありました。「種の袋を背負い、泣きながら出て行った人は、束ねた穂を背負い、喜びの歌を歌いながら帰って来る」とありました。「涙と共に種まいた」のです。肩に喰い込む「種の袋を背負い、泣きながら出て行った」のです。建築のために苦労を共にし、励まし合い、5カ月を過ごしたからです。これが今日の喜びになっています。

  キリストの体である教会を建てるとは、心を同じにする、こういう励まし合いの歩みです。教会につながって何か得をするなんて考える人は一人もいません。そういう卑しい心でなく、身体を使い、捧げものをし、神様お用い下さいと差し出したものを、神様が祝福して、万事を益として下さった。これが、神を愛する人たちと共に働いて、万事が益とされるということです。

  他教会の方ですが、ある知人は、100万円以上の献金をして下さいました。義理も義務もありませんが、進んでして下さいました。実は、途中であと何10万円かをして下さろうとしていましたが、以前から屋根の雨漏りがしていて、修理するのにどうしても必要になったので、ごめん、それはしないことにするからと、申し訳なさそうに言われました。

  レプタ二つを捧げる信仰と言うのは、こういう慎ましい生活の中から、生活を掛けて捧げて下さる信仰ではないかと思います。

  その他、100歳の他教会の方がお捧げ下さったことを前にお話しました。また、ご自分のおばあちゃん、おじいちゃんの信仰を考えてかなりの献金をして下さった他教会の若い婦人もあります。

  これら一切が用いられて益となりました。この会堂はこういう物語を持っています。それが、今私たちが礼拝に与っているこの教会です。会堂は建物ですが、この会堂の建物は物語でできているのです。物語が一杯詰まっています。

  そして最後に、今度の地震でこの教会の耐震性が十分証明されました。震度6強に耐えるものを建てたいという、最も願っていたことのお墨付きを、神様から頂いた。もう恵みはこれで十分でしょう。

  これを、「万事が益となる」と言わずに何と言うでしょう。ローマ書が語ることは事実だと確信していいのです。

                             (3)
  だが今日は、「万事が益となるか?」です。

   (つづく)


                                         2011年3月20日


                                     板橋大山教会   上垣 勝


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