からし種キリスト - mas

　　　　　　　　　　　　　　　　　　春が待ち遠しいです。今年は特に北国の方々はご苦労さまです。　　
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　世界に大きく枝を張って　（上）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　マルコ４章３０－３２節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（１）
　　イエスは「神の国の福音」を宣べ伝えられました。マルコ４章には、「種まきの譬え」「ともし火の譬え」「成長する種の譬え」そして今日の「からし種の譬え」など神の国が４つの譬えで語られています。マタイ福音書には、他の譬えも収められています。

　　神の国とは、どこかにある神の領土と言うのでなく、神様のご支配あるいは歴史の中での神のご支配のダイナミックな働きを指していると言っていいでしょう。

　　２１節は、神の国は「からし種のようなものである。土に蒔くときは、地上のどんな種よりも小さいが、蒔くと、成長してどんな野菜よりも大きくなり、葉の陰に空の鳥が巣を作れるほど大きな枝を張る」と語っています。

　　「からし種」は原語では単数形です。ですから、前の訳は「一粒のからし種」となっていました。一粒のからし種だが、育つとどんな野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て巣を作るほど大きな枝を張ると言われています。神はお一人です。そのご支配はただ一つですから、ただ一個のからし種に譬えられているのでしょう。

　　からし種がどんな大きさか以前にも申しました。埃ほどの大きさで、殆ど目に止まりません。近眼の人も、老眼の人も見えないでしょう。ごまの種と並べて置くと、その小ささが分かります。ごまの５０分の１程でしょうか。大豆と並べると、まるで巨大な象と並んだ子ネズミのようです。大豆というのは何と巨大な種かと驚きます。

　　だが、からし種は成長すると４、５mの高さになり、枝を張って無数の黄色いラッパ型の花をつけます。そして聖書にあるように、空の小鳥が巣を作る程になる。

　　この「鳥」は複数形で書かれていますから、色んな種類の、多数の小鳥がやって来て宿り、色んな音色で囀り、巣を作るというのでしょう。

　　イギリスにいた時、窓に向かって机を置いていました。厚いカーテンを開けて外を見ていますと、目の前の垣根にひっきりなしに色んな小鳥が来て飛び交うのです。向こうでは色んな野鳥が住宅地に住んでいます。目を少し先の方にやると、ちょっと離れた所に大きく枝を張った高い木が聳えていて、冬には大枝が大きく張っているのがよく見え、小枝の先々まで青空に張った姿が印象的でした。そこに小鳥たちが群れて飛んで来るんです。右手の枝に小鳥の一群が飛んで来て休憩しているかと思うと、別の枝に種類の違う小鳥たちがやって来る。そして今度はつがいで来り、ひとりで飛んで来たりして、いつまでも見飽きませんでした。

　　からし種はそんなに巨大になりませんが、それでも複数の小鳥たちがやって来て巣を作るということでしょう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（２）
　　からし種はイエスを象徴しています。幼子イエスは、ヘロデ大王に比べると何と小さく、か弱く、ひねりつぶされそうな存在としてベツレヘムに生まれました。神はこの世に一粒の種を蒔いて育て、その使命が最後の極みまで果たされ、いったんは十字架でひねりつぶされたと思われたのに、復活して弟子たちに現れ、聖霊降臨によって教会が生まれて、イエスという一粒のからし種の木は世界に大きな枝を張る木に成長したと言えるでしょう。

　　旧約聖書をお持ちの方は、エゼキエル書１７章２２節以下をご覧ください。「主なる神はこう言われる。私は高いレバノン杉の梢を切り取って植え、その柔らかい若枝を折って、高くそびえる山の上に移し植える。イスラエルの高い山にそれを移し植えると、それは枝を伸ばし実をつけ、うっそうとしたレバノン杉となり、あらゆる鳥がそのもとに宿り、翼のあるものはすべてその枝の陰に住むようになる」とあります。また、ダニエル書４章にも似た言葉が出てきます。

　　鳥たちは異邦人を指しています。「あらゆる鳥が宿り」とか、「翼のあるものはすべて」とか言うのですから、地上の色々な異邦人、民族、色んな言語を語る者たちが、大きく枝を張った神のご支配の中に宿るものになるということです。

　　すなわち、ヘロデ王の時代に、一粒のからし種のように小さく、弱く見えたキリストの木は、２０００年を経過する中で、世界に大きな枝を張る木に成長し、そこに様々な人たちが宿るようになりました。地上を歩かれたナザレ人イエスの言葉と業が実を結び、今や世界にその枝を張っています。

　　　　　　　　　　（つづく）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１１年１月３０日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　板橋大山教会　　　上垣　勝

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