センス・オブ・ワンダー


皇帝テオドシウス時代に建てられたハギア・ソフィア教会(415年創設)のレリーフが見つかったと、説明板にありました。
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                                              ただ一人の神とその愛 (上)
                                              申命記4章15-40節


                              (1)
  この4章にはモーセイスラエルの民衆に行なった戒めや勧告が記され、次の5章には十戒が書かれていまして、これは十戒の前書きとも言える内容です。従って今日は、旧約聖書の最も重要な部分から福音を聞くことになります。

  モーセ旧約聖書全体を代表する人物で、神から十戒の板を与えられ、それを民に与えた律法の付与者と言えます。20節に、主は「鉄の炉であるエジプトから導き出し」とありますように、彼は60万の民を40年にわたって砂漠を導き、出エジプトさせました。


  15節から30節には、まことの神である主は目に見えぬ方である、「あなたがたはいかなる形の像も造ってはならない」、男や女の形、人間や獣や鳥の形、太陽や月や星などの形を造って拝むな、など、偶像崇拝を禁じる警告がありました。

  それと共に、「私はヨルダン川を渡ることなくここで死ぬ。しかし、あなたがたは渡って行って、その良い土地を得る」とありましたが、彼は目指すカナンをピスガの山頂からはるかに眺望しながら、その手前で死ぬことになると語ります。そしてこの申命記の最後で「誰も彼の葬られた場所は知らない」と書かれます。

  モーセは自らの限界を知る人、知って足ることを知る人。しかも自分の墓の場所さえ誰にも教えず、ただ神の栄光だけを求め、自分の栄光を求めなかった人だったと言っていいでしょう。巨大な指導者でありながら、純粋な人物であったのでしょう。


  次に31節でモーセは、「あなたの神、主は憐れみ深い神であり、あなたを見捨てることも滅ぼすことも、…契約を忘れられることもない」と語ります。彼は慈しみ深く、愛ゆたかな神を語りました。律法の付与者モーセというと厳格な怖い人という印象を持ちますが、彼は出エジプトを通して愛の神に出会ったと言っているのです。

  そして32節から34節では、天地創造の初めから、また出エジプトの事件を通して「主こそ神であり、他に神はいないという事を示され、知るに至った」と語ります。彼はただ一人なる神と、その愛を知るに至ったというのです。そこに私たちの信仰の中心、焦点があると言いたいわけです。


  更に36節以降で語られたこと、特に39節では、「上の天においても、下の地においても、主こそ神であり、他に神のいないことをわきまえ、主の命じる掟と戒めを守りなさい」と述べています。天上天下唯我独尊ではありません。天上天下、唯一なる神のみがいますということです。

  これらのことからモーセという人は、イスラエルの歴史を驚きと感動をもって新しく発見した、その歴史の中に働く神、しかも愛の神を感動をもって発見した人だということが出来るでしょう。

  詩人は自然の中や人々のなりわいの中に美しさや驚きを見出したりします。科学者も自然に隠された不思議な法則や働きを見て驚きをもちます。センス・オブ・ワンダー、驚きの心、感覚です。子どもたちも知らない不思議なことを発見して驚きます。主婦たちは野菜の値上がりに驚いたりしています。

  だが、モーセは歴史の中に神様の介入を見て驚いたのです。彼は、歴史の中に働く神を洞察した。そういう心の柔らかさを持つ人、感動する人だったと言えるでしょう。

            (つづく)

                                         2010年10月10日


                                       板橋大山教会   上垣 勝

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