再婚者の結婚式説教


                            ジュネーブの少女
                               ・



                                              結婚式の説教 (下)
                                              Ⅰコリント13章1-8節


                              (1)
  AさんとBさん。お2人は様々な試練を乗り越え、長くつき合い、愛を確認し合い、信頼を創り出し合って今日の日に至られました。これは素晴らしいことです。今日は東京はあいにくの曇りですが、今日は光り輝く日としてお2人の生涯に残る日です。

  そしてこの日は、お2人にとって大事な高校1年生のC君にとっても、必ず心に残る新しい一歩となることでしょう。

  なぜなら、この家庭にまことの神がおられるからです。

  お二人の愛は、10代や20代の愛ではありません。遠回りしましたが、30代40代の大人の愛をもっての出合いであり、出発です。こういう愛は人生でしばしば起ることではありません。神さまに特別祝福されたお2人だと思います。C君共々幸福なご家庭をつくって下さい。

  お2人がお互いに相手を結婚の相手として見出した時、恐らくお互いに相手によって自信を与えられたのではないでしょうか。その自信はふつふつと湧く喜びであり、新しい希望を与えられるものともなったでしょう。

  この後、神さまの前、イエス・キリストのみ前で結婚の誓約をされますが、神の永遠の愛で愛されていることを忘れないで下さい。神の祝福の光の下にあるのですから、この誓約を大切にして下さい。

                              (2)
  こんにち、家庭でも社会でも最も必要なのは愛です。しかも世に氾濫(はんらん)するエロスの愛でなく、アガペーのまことの愛、真実のこもった愛です。アガペーの愛とは神の愛であり、嫌いな人も愛していく、敵をも愛していかれたキリストの愛ですが、私たちはキリストの愛を完全に行なうのは無理にしても、その愛をささやかでも反映して生きることです。

  先程お読みしました聖書に、「愛は忍耐強い、愛は情け深い。愛は礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真理を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。愛は決して滅びない」とありました。ここにキリストの真実な愛が反映されています。

  結婚の愛は恋愛の愛とは違います。

  恋愛の愛はいわば甘いケーキやシュークリームのような味ですが、結婚の愛はご飯や味噌汁のような地味な味です。特別の甘さも特別の飾りもないかも知れません。しかし、家庭という安全で実り豊かな場所を作ります。そこでホッとくつろぎ、憩い、鋭気を養われます。ケーキやシュークリムト違って、日々家庭の体力をつくり、健康を支える基本的な栄養源です。

                              (3)
  結婚生活はむろん緊張は不要ですが、決して甘いものではありません。

  人生の節目、節目に試練が現われるからです。それは思わぬ試練であったり、願わぬ試練であったりします。その時、お2人はそれを分かち合っていかなければなりません。「分かち合った苦しみは喜びに変わる」のです。

  先日上野駅近くの喫茶店でこの結婚式の準備をいたしました。その時も申しましたし、私は結婚式には殆どいつも申しますが、「分かち合われた苦しみ、悲しみは喜びに変わる」のです。でも分かち合われない苦しみ、悲しみは一層悲しみが深まり、苦しみが辛くなります。

  試練の中で関係が壊れそうにさえなります。まずい対応をしてしまうことがあり、まずい対応をされることがあります。

  その時、「相手が謝ってくればゆるそう」、「相手が口を聞けば聞いてやろう」と、相手の出方を待って貝のように堅く口を閉ざし、口をきかない。頑固に心を鉄のように閉ざす。 …のでなく、その殻を破って自分から口をきいていく。そうです。赦していく、愛していく、信じていく。そこには勇気がいります。でもそれが本当の勇気です。自分の殻を思い切って打ち破る勇気が真の勇気です。

  それが今日の聖書が語る、「自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない」ということですし、愛は「すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを希望し、すべてに耐える」と語っていることです。

                              (4)
  結婚の愛は捨てる愛です。「捨てる愛」ですって?

  ええ、捨てる愛です。何を捨てるのか、どうして捨てるのか。…もはや相手以外の異性を愛さない。好きにもならない。この人のみを選び、他の異性はことごとく捨てるのです。

  結婚の愛は選びの愛です。この人を選んだのです。ですから他のどんな異性ももはや選ばないのです。その決意が結婚の決意です。

  その上に立った家庭生活に必ず平和が訪れます。喜びが伴います。必ずその家庭に色んなものが元気よく育ち多くの実りが訪れるのです。

         (完)

                                        2010年9月20日(月)


                                   板橋大山教会   上垣 勝

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