人生の終わりのように、この年を閉じよう


アイガー・グレッチャーで登山電車を降り、肌に心地よい風を感じながらカウベルが聞こえる高原を歩きました。
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                                              この年をどう閉じますか (下)
                                              黙示録22章6-13節
   
  
                                 (3)
  私たちは、2009年も後5日を残すのみです。この年、それぞれどういう年であったでしょうか。何を経験し、何を収穫し、何を与えたでしょうか。獲得することに、心を多く使わなかったでしょうか。何かキリストのために捨てたでしょうか。この一年を、どのように閉じるのでしょう。

  誰しも思うのは、一年の終わりを静かに閉じたいということでしょう。私もそう思います。

  イエスは、あれ程の苦難の中に置かれながら、「み手に委ねます」と語ってその一生を平和のうちに閉じられました。人を赦し、彼らのために執り成して閉じていかれました。

  できればそのように、私たちもこの年を閉じたいと思います。この年の内容がどういうものであったにしろ、です。或いは、神への感謝、人への感謝をもって閉じたいと思います。この年を、人生の終わりのように閉じたいと思います。

  イエスは、何故あのような時にこういう事がおできになったのでしょうか。それは、父なる神がアルファであり、オメガであり、最初の者であり、最後の者であられるからであり、初めであり、終わりであられるからだったと思います。言葉を変えていえば、最後的に神の判決があるからでしょう。父なる神の大きなみ手、永遠から永遠に渡って広げられた恵みのみ手から、何事も、何者もこぼれ落ちる事はなく、何事もこぼされることがないからでしょう。

  年の終わりに、み子の誕生を祝う時があるというのは、素晴らしいことです。私たちは、クリスマスにみ子キリストを与えられたのです。この年を、喜びをもって閉じていいのではないでしょうか。

                                 (4)
  クリスマスを迎え、イエスが私たちの所に来られました。今、世界の人々は、神われらと共にいますということを深く味わっています。今、喜びあふれる時です。

  今から、地上を歩かれたイエスと共に生きる時が始まります。一般の人はクリスマスは終ったでしょうが、私たちはそうではありません。今からが本番です。イエスの家族は幼子イエスを連れて、ヘロデの手から逃れてエジプトに逃げました。そして再びパレスチナに帰って来ますが、ヘロデの後継ぎアルケラオが統治しているので、ガリラヤの小村ナザレに行って住みました。その村でイエスは育っていきます。

  私たちも今、小さな幼子キリストを腕に託されています。それぞれの持ち場に、この幼子を連れ出すように腕に委ねられたのです。

  私たちは次の年、どのように幼子イエスを持ち運ぶでしょうか。しかし、私たちが幼子イエスを持ち運ぶ時、私たちが幼子イエスによって必ず持ち運ばれるでしょう。

  中には敵に遭遇する方もあるでしょう。病という敵、人間の敵、自分も敵になることがあるかも知れません。十字架の難儀な道行きを経験する方もあるでしょうか。だが、その中でもイエスを胸に持ち運ぶ方は、イエスによって必ず死の蔭の谷を切り抜け、苦境を切り抜けて持ち運ばれるでしょう。今、この一年をイエスと共に閉じていくなら、次の一年をイエスと共に始めることができるでしょう。

                                 (5)
  9月にフランスのテゼに行った時に、印刷業をしいるアイルランド人のご夫婦にお会いしました。魅力的な、オーラがどこか漂う素晴らしいご主人で、クリスマスに詩を送ってくれました。好い訳ではありませんが、皆さんにも味わって頂きたいと思って訳しました。

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        アイルランドからの祝福

    祝福の光があなたの上にありますように。
     あなたの外にも、内にもその光が。
    まぶしい太陽のような神の輝きが
     あなたの上にあって、
     暖炉におこった炭火で温められるように
      心があたたかくほてり、
     友や未知の人たちも
      温かくもてなすことができますように。

         窓からこぼれる光のように、
          主の恵みの光が
           あなたの目もとからこぼれますように。
         疲れた旅人をもてなす時も、
          神のやわらかな恵みの雨が
           あなたの上に降りそそぎ、
          あなたの頭(こうべ)に静かに降りそそいで
           魂を生き返らせ、
          新しく芽吹く小さな草花の
           愛らしさをもって
            その魂を生き返らせてくださるように。

    天上に吹く風の力強さをもって
     神があなたを祝福し、
    雨を降らせて
     あなたの心を清く洗ってくださり、
    雨上がりの空に輝く陽の光の中で
     光り輝かせてくださるように。
    神の地上への祝福があなたにあり、
     あなたが道を行くとき
      出会う人たちに
      いつも温かい言葉を
      かけることができますように。

         あなたは、
          神のご計画の
          大切な一部なのですから。
    
      ……(以下、省略)
          ・

  いい詩ですね。「神の地上への祝福があなたにあり、あなたが道を行くとき、出会う人たちにいつも温かい言葉をかけることができますように。」

  幼子イエスを持ち運んでいく時、イエスが私たちを持ち運んで下さり、道行く時に出会う人たちに、温かい言葉をかけることができるようにお導き下さるに違いありません。その勇気を授けて下さるように祈りましょう。

        (完)
                                 2009年12月27日


                                      板橋大山教会   上垣 勝

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