人類を照らすまことの光


                         リヨン美術館で(29)         右端クリックで拡大
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                                               人類を照らすまことの光 (下)
                                               ヨハネ1章1ー14節



                              (3)
  6節から8節までは、イエスの道備えをしたバプテスマのヨハネのことです。今日は簡単に触れるだけにします。「証し」という言葉が3回出て来ますが、彼は、イエスはまことの光だと、ここに本当の光があると証した人です。しかも自分の存在をかけて、殉教の死をかけて、この方こそ真実な光だと証しました。

  最後に9節は、「その光は、まことの光で、世に来てすべての人を照らすのである」とありました。「まこと」とは、虚構ではない事。虚偽の反対です。真実な、真正なという意味です。キリストは真正な光であるということです。

  イエスが地上に来られるまで、色々な世に存在しました。権力によるもの、技術や技能によるもの、頭脳によるもの、たぶらかしも、偽の光も色々ありました。今もそれほど様子は変わりません。それらは皆、不完全な光です。起こっては消え、現われてはどこかに消えました。だがキリストこそ、「私は道であり、真理であり、命である」と言われましたが、人々の行く手を正しく照らす真正な光です。

  世に来て「全ての人を」とあります。全てとは十把一絡げという意味ではありません。すべての個人、個々人を照らすのです。一人一人と関わり、真実に照らすのです。キリストは、私の救いとなるのです。取りも直さず、愚かなこの私の救いとなって下さるから喜びなのです。愚かなこの私の救いとなるからまことの、真正な光だと言えるのです。

  この間のNAの集まりでその日のテーマになったのですが、神の存在は考えても分かりません。私は、頭で考えた神はいないと思います。それは人間が考え、作る神です。憶測に過ぎません。考えるだけでは、いるとも思えるし、いないとも思えます。そんな神に祈ることなどできません。そんな神の前で黙想できません。恰好だけ黙想しても本当の黙想になりません。

  私たちは、イエスによって神を知ったのです。イエスを知らなければ神を知らなかったのです。イエスを知る時に神を知るのです。神を知らなくても、イエスを知るだけで十分です。神は分からないが、イエスの愛は分かるというのでいいのです。その愛が神を啓示しているのですから。

  ある人が、イエスの到来は疑いの闇を追放したと語っています。神の存在は憶測でしかないが、イエスによって疑いの闇は晴らされて行きます。イエスは絶望の闇も追放されたとも語っています。人間は闇の中から引き出してくれるのを待っていますが、「自分の罪を憎みながら、それから逃れることが出来ない」のが生身の私たちです。自分はどうするべきかも分かっていますよ。だが、分かっているのに、それが出来ない。だから苦しいんです。

  ところがイエスの到来によって、新しい力が生まれたのです。イエスは知識だけでなく力を持って来られたからです。人間に正しい道を示されただけでなく、罪から引き出してその道を歩む力も授けられたからです。教えを垂れただけでなく、私たちの所に来て一緒に歩いてくれるからです。(バークレー

  最後に11節以下はこう語ります。「言は、自分を受け入れた人、その名を信じる人々には神の子となる資格を与えた。この人々は、血によってではなく、肉の欲によってではなく、人の欲によってでもなく、神によって生まれたのである。」

  私たちは自分の力で神の子となれません。その力はない。逆立ちしてもなれません。だが、キリストを受け入れ、その名を信じて信頼する時に、予期しない新しいことが起こります。家柄や血筋によってでなく、道徳的な立派さからでもなく、人間の自然の力や能力にもよらず、ただ神によって、ただ神の恩寵によって神から生まれるということが起こるのです。

  その時、キリストは人類を照らすまことの光であるだけでなく、キリストが私を照らすまことの光となり、人生を導いて下さるのです。私たち一人一人と出会って神の子として下さるのです。そしてキリストが私の内に生まれて下さり、私の内にクリスマスが今日起こるのです。

      (完)


                                            2016年12月25日



                                            板橋大山教会 上垣 勝




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