脳の動脈瘤が…奇跡です

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　恨みをこえる道　（上）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　マルコ２章１－１２節



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（序）
　　今日はマルコ２章から福音を聞きましょう。「イエスは再びカファルナウムに来られると」、とありました。カファルナウムはガリラヤ湖の西岸の町で、ここを拠点にイエスはガリラヤ伝道をされました。１章に、「ヨハネが捕らえられた後、イエスはガリラヤへ行き、神の福音を宣べ伝え」とありましたが、その中心がカファルナウムです。イエスは先ずこの町の漁師たち４人を弟子にし、周辺の町や村で宣教して再びカファルナウムに帰って来られたのです。

　　すると、家におられるという噂を聞いて大勢の人が押し寄せた。すると４人の男たちが中風の人を担架で運んで来たのですが、余りに大勢の人で家に入ることが出来ず、外から屋根に上がって屋根を剥いでイエスの前に吊り下ろしたのです。たまげてしまいますね。中風は元のギリシャ語では「ゆるめる」という意味です。中風の発作で体の機能がぶらぶらにゆるめられる。自分の意志で体が自由にならないことを言います。

　　で、イエスはその男を見て、「子よ、あなたの罪は赦される」と言われたのです。今日はここが中心です。ところが律法学者たちは心の中で、「この男は神を冒涜している」と裁いたのです。その心の内をイエスは咄嗟に見抜いて、「なぜ、そんな考えを心に抱くのか。中風の人に『あなたの罪は赦される』と言うのと、『起きて、床を担いで歩け』と言うのと、どちらが易しいか。人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう」と言って男を癒して家に返されました。人々は皆、この出来事に触れて非常に驚いた。これが今日のあら筋です。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（１）
　　だいぶ前から癒しがブームになっています。日本だけでなく、日本ほど酷くありませんが世界のあちこちでそういう現象があります。香をたいたり癒しのＣＤをかけたり、足湯も癒しの一つでしょう。あの人は癒し系だなんて言われたりします。

　　癒しを必要とするのは肉体だけでなく、心も魂もです。心や魂の癒しとはどういう事でしょう。アロマの香りを嗅げば心の傷が癒されるとは誰も思いません。少しは気分は良くなるかも知れませんが…。富さえあれば心が癒されると思っている人もあるでしょう。これも懐が温かくなって誇らしくなるかも知れませんが、果たしてどうでしょう。それらは癒しの代用品に過ぎません。イエスは、「この水を飲む者は誰でもまた渇く」と言われましたが、アロマで癒されても、マモン（金銭）が満たされてもまた渇くでしょう。

　　イエスは、屋根をはいで自分の前に吊り降ろされた中風の男を癒されました。家中が人で一杯で戸口の辺りまで大勢の人であふれていたので、男らは屋根に上って畳一畳ほどのデッカイ穴をあけ、病人を床ごとイエスの前に吊り降ろした。

　　男らの大胆な行為に驚きます。友人を見捨てない、信仰と愛と大胆さが一つに結びついている姿にも目を見張ります。これは中々出来ませんよ。誰がそんな事をして教会に、イエス様の前に連れて来たでしょうか。でもそんな大胆な人もあって欲しいです。そして、イエス様の方も天井に巨大な穴を開けた荒っぽい彼らを少しも叱らないばかりか、直ちに彼らに応じられたのは凄いと思います。その寛容度は凄いと思います。私なら怒り狂って携帯電話で警察を呼ぶでしょう。

　　微妙な脳の部分に動脈瘤があり破裂する可能性があるので、ここにおられるＡさんが８年前に難しい手術を受けられました。脳の血管に細いカテーテルを入れ、動脈瘤の部分に非常に細いステントというソフトなコイルを置いて血管を補強する極めて危険な手術でした。破裂すれば大変です。手術は成功しました。今そこは補強されていい状態ですが、何とそこよりもっと深い脳幹近くに２ｃｍになる動脈瘤があるのだそうです。一触即発ですから名医も一切触われません。そんな危険を抱えて今日も元気に礼拝に出席しておられます。奇跡です。当時私たちは一生懸命祈らせて頂きました。前日、役員数人とで病室を訪ね、当日は丁度手術時に祈祷会があり、皆で心から祈りました。

　　この中風の男は、脳の細い血管が詰まった脳血栓か、破れて脳溢血かになり、半身不随か寝たきりになったのでしょう。言葉も失い、大変だったと思います。２千年前ですが今日と共通する病気になった訳です。

　　　　　　　（つづく）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１６年１０月１６日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（０８年６月８日説教を改訂）


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　板橋大山教会　上垣　勝




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